尊敬

前章でも少し書きましたが、オープン当時は中途採用をしていました。新聞などに求人を出して、面接をしました。その頃、仕事で何が一番辛かったかといえば、 一緒に働きたいと思える人が面接に来てくれないことでした。それでも、いつも猫の手も借りたいほどの人手不足だったので、選ばずに採用しなければなりませんでした。 一人で働きたいと何度も思いました。しかし、サロンで電話を受け、来て頂いたお客様の施術から会計まで全てを一人ですることはできません。やはり計算してみると「一人ではやつていけない。人を使わないと、借金も返せない」と分かりました。しかし、どうやつたら、良い人が来てくれるのかが分かりませんでした。仕事を始めてから5年程経った頃、初めて新卒を採用しました。今のハローワーク、その頃の職安に頼んで、高校に求人募集をして採用しました。そうしてみたら、新卒の高校生を育てるほうが早いことがすぐに分かりました。その子達はピカピカの社会人1年生ですから、私を先生と尊敬してくれて、教えることは素直に吸収してくれました。

 

 

その子達のうちの一人は今も働いてくれています。その時に「わあ、なんて社員はかわいいんだ!」と思いました。もちろん、中途採用の人達でも優秀な人はいて、シェイプアップハウスでも長年働き、会社を支えてくれている人達もいます。しかし、その頃に中途採用した人達は、喫茶店でウエイトレスのアルバイトをしていたとか、高校を退学してブラブラしているという人達でした。まだまだ新しい職業でしたから、一般に言ういい人材は来てくれません。採用すると、2週間ほどは朝から晩までレッスンをします。そして「では、お店に出て下さい」というと、その日に辞めてしまう人もいました。朝は働いていた社員が、昼にはいなくなっていたなんていうこともありました。そういう働き方をする人をずっと見てきていたので、新卒の高校生はよく働き、可愛いと思いました。ですから、やはり一からきちんと教えようと思ったのです。当時、エステティシャンという職業の人が日本に少なかった為、面接に経験者が来ることはなく、社会人経験者でも、新卒者でも、18歳でも30歳でも一からエステティックを教えるのですから、習得する時間は同じです。